金をかけるならココにかけろ-第1位-


フォーク 第1位はフォーク。ロードバイクなどのスポーツ自転車に詳しい方なら「自転車の印象はフォークで決まる」なんて話を聞いたことがあるのではないだろうか。
本当にその通りで、サブナードスポーツもフォークを変えたら違う自転車になった。

例:交換前
 → 交換後
フォーク:ハイテンフォーク 825g(ランクE
  → シクロクロス用クロモリフォーク(ランクC) 1019g

 交換後のクロモリフォークはこれまた腰を抜かしそうな重さだが、剛性だけはランクAのフォークと変りないどころかもっと上で、とにかく自転車がペダルの踏み込みに対してよく前に出るようになった。ペダルに加えている力が逃げずに推進力に変わっているのだと思う。データ的にはリムとタイヤのところで書いたのと同じコースを走ってみたところ、平均時速+2.45km。フォークを変えた時点で一般車からスポーツバイクへと変貌した感じだ。

 ワタシはこだわってフォークを選ぶときは、クラウンの付け根とコラムの接続部ががっちり強固なのにフォークブレードはしなやかなものをなるべく選ぶようにしている(※上記クロモリフォークはそんなにこだわって選んではいない)。
 ロードバイクなんかの場合、フレーム部分は車輪に支えられて宙に浮いている状態だが、そのフレームの支点はフォーククラウンとコラムの接続部になるので、そこはがっちりしていたほうが力を逃がさないという意味では良いのだ。
 しかしフォークブレードは屋外を走ることを考えると衝撃吸収の関係からしなやかな方が良い。この相反する2つの条件をバランスよく満たそうとすると、現状での答えとして「カーボンフォーク」にはそれなりの理がある。ワタシはフレームの素材は鉄でもアルミでもチタンでもカーボンでもあまり気にしないが、フォークの素材だけは「やっぱりカーボンかな?」と思ってしまう。前出のサブナードスポーツもがっちりしたクロモリフォークにしたせいで剛性は抜群だが衝撃吸収性はひどいものだ。

 余談になるが交換前のハイテンフォークは柔らかくてペダルに加えた力を推進力に変換する能力は低かったが、衝撃吸収性は悪くなかった。これはワタシにとっては都合の良くないことでも一般的には悪いことではない。
 コストダウンして作られたリムとタイヤでは乗り心地が悪いので、その乗り心地の悪さを和らげるために敢えて柔らかいフォークを付けていたのではないかと思う。コストを下げつつ、消費者に満足してもらえる自転車を届けようというプロの仕事だ。多くの消費者はカゴ、ドロヨケ、チェーンケース付きの一般車に速さなど求めていないので、それは全く正しい。

 それはさておき、安価だったり古かったりする自転車でもフォークを良いものにするだけで生まれ変わる可能性がある。フロントフォークは、お金をかけて自分の目的にあったものを選ぶことを考える価値のあるパーツなのではないかなと。

 このようにして完成したサブナードスポーツ(改?)は、ガチガチに剛性の高いフォークに柔らかいフレームがくっついてバランスしている変な自転車だが、脚がフレッシュなうちはスポーツ自転車さながらによく走る。ロードバイクのような軽快さはないし、走る距離が長くなるにつれその車重が脚に堪えてくるのだが、サブナードスポーツは元々が「ママチャリ」の範疇に入る自転車だったことを考えると、随分と眠れる力を引き出したと言って良いのではないかと思っている。
 しかも、元々あったママチャリの機能は一切損なっていないのだ。

遅ればせながら・・・

 友人がタッドポールトライクを購入。自分も試乗させてもらう。
トライクは、乗っている人と一緒に走ったことはあって見慣れないものではなかったのだが、自分で乗るのは初めてだった。
リカンベント歴ももう9年になろうというトコロなのだけれど、まったく遅ればせながらという感じである。

 そしてそのトライク、乗ってみた感想としては、実にイイ。
何が良いかって、

  • 乗車後は足を着かなくても転ばない
  • 転ばないどころか、発進時、停止時、上り坂、重い荷物を積んだ時、ライダーがフラフラにくたびれた時などにも一切ふらつくことさえない
  • コーナリングに強い
  • バックするのが比較的容易

と言ったところ。加えて2輪リカンベントの一般的な長所でもある

  • シートにもたれる格好なので乗車ポジション的に楽
  • 視界良好
  • 空気抵抗が少ないのでスピードが出る

も持ち合わせている。
あと、良いことかどうかは分からないが、

  • 横Gを感じる

という特徴もある。

 ワタシがトライクの特徴を一言で表現するとしたら、それは「安定感」。なにしろ生涯で1度も自転車に乗ったことのない人が初めて乗り込んでもひとまずは転ぶことが仕組み上ありえない。1度乗り込んでしまえばペダルから足を離す必要がないのは感動的な長所で、一時停止→再発進のプロセスが非常にスムーズ。この長所のおかげでトライクは意外に街中の走行にも向いている。
 3輪(フロント2輪)のもたらす安定感のおかげでコーナリングに強く、ブレーキング時の車体の安定も抜群、走行中も左右のフラつきを気にすることなくペダリングに集中できるなどの点は2輪とは規格違いだ。
 横幅の広さを考慮に入れて走る道を考えなければいけない点とか、乗車位置がローレーサー並に低いことによる自動車からの視認性など注意しなければいけない点もあるけれど、その魅力は捨てがたい。
もっと普及してほしいな。

金をかけるならココにかけろ-番外編-

 第1位の発表の前に、ランク外だけれども良い品に取り替えておいたほうがいいなと思うパーツについて取り上げてみる。以下順不同。

▼フロントブレーキ
 コストダウンのため鉄板を打ち抜いて作られたシングルピボットブレーキからアルミ製のデュアルピボットブレーキ(一般車用)に交換。改造後はスピードも出るようになると思っていたのでブレーキの強化は必須

▼BB
 コストダウンされたBBは回転も渋いし耐久性も低い。高級品はその逆。ここは高級品を付けても損をしない部分と思う。ちなみに外から見えないので完成車でコストダウンされやすいところでもある

▼ハブ
 BB同様、コストダウンされたものは回転もゴリゴリする感じだし耐久性も低い。ホイールを新調するならお金をかけておきたい

▼ペダル
 ビンディングSPD)ペダルに交換。ビンディングペダルを使いこなせればノーマルペダルに比べてよりライダーのパワーを引き出せる。その効果は大きい

▼リアディレイラーのプーリー
 ベアリング入りのやつにしておくとフリクションロスの低減につながる。おいしいプチ改造

 どんなパーツも普通はお金を出せばどんどん良くなっていくので、お金があるなら他のパーツもアップグレードした方が良いのだが、走りを良くするうえで多少なりとも効果があるなーと思っているのはまあこんなところ。
 ちなみに自転車の機械的抵抗がどの辺に発生しているかということが推測できる動画がこちらにある。
 このテストの速度は約210km/hだそうで。GOKISOのハブが発熱していないのはセールスポイントなので当然だが、チェーンは発熱しているし、タイヤはさらに大きく発熱している(=エネルギーが推進力ではなく熱に変わっている)。ついでに見るとBBは発熱していない。このテストではBBには荷重はかかっていないようなので正確な評価はできないが、まあBBも少し良いものなら回転抵抗はこんなものだろう。
 こうしてみるとBBとかハブよりまずはチェーンの機械抵抗をどうにかした方が良さそうだが、チェーンは現状ではただ高級品を使っただけではダメで、洗浄と潤滑による対処が必須なところとワタシは考えている。

金をかけるならココにかけろ-第2位-


タイヤ・リム
タイヤとリムが第2位。
第2位が2つあるなら、この前書いてた第3位は第4位なのでは?と言うツッコミがあるかと思うが、サブナードスポーツではこの2つを同時に変えてしまった。2つ合わせてナンボ、のデータしかないのでこのようになった。悪しからず。

ワタクシのサブナードスポーツでは以下のように変わった。
例:交換前
    →交換後
・タイヤ:一般自転車用の27インチタイヤ 540g(ランクE
      →価格的には中級グレードの700x35Cタイヤ 580g(ランクC
・リム :27インチのアルミ製シングルウォール ピンジョイント 36H 700g (ランクE
      →700Cのアルミ製ダブルウォール ピンジョイント 36H 510g*1ランクC

 この交換のあとに以前走ったことのあるコースと同じコースを走ってみたところ、平均時速で+1.83km/hを記録。もちろんライダーは変わっていないので自転車側の向上であることは間違いないところ。

 リムとタイヤが第2位と言うのはだいぶ迷った。正直なところタイヤも含めたホイールの違いによるインパクトは自転車パーツの中で最大であると思う。それは700x35Cタイヤの自転車と、700x23Cタイヤの自転車を乗り比べれば3秒とかからずに分かる。
 しかし今回は交換前とほぼ同じ太さの35Cタイヤ、交換前とほぼ同じサイズの700Cリムに変えた結果だ。それでも第2位のインパクトなのだから足回りのパーツは重要だ。

 タイヤは見た目上はそんな変わっているようには見えず、重量は交換後の方のタイヤの方が重かったのだが、変えてみると走りは確実に良くなった。踏み込んだ時に自転車が以前より前に出る感じがするようになり、ブレーキをかけて減速した後にブレーキを離すと以前よりも自転車が止まらない。タイヤの剛性が向上し、転がり抵抗が減少しているのだろう。タイヤの構造や材料にコストをかけて作られている分よく走る。

 交換前のアルミ製シングルウォールのリムが1つ700gというのは、ロードバイクの世界で400gのリムを重いと言っている人には腰を抜かしそうな重さだろう。交換後のリムもさしたるスペックではないが、加速性能は向上しているように思える(これはホイールの組み方にもよるので単純比較はできない)。しかしワタシは軽くなったことよりもむしろ乗り心地が格段によくなったことに感動した。シングルウォールの時は荒れた路面だと衝撃がドシンドシン言う感じで伝わってきたものだが、それが非常にマイルドになって、少なくともドシンドシンという感じはしなくなった。

最後に、リムとタイヤ、どちらか片方しか交換できないとしたらどっち?

・・・と問われたら、ちょっと悩むがワタシの答えはタイヤ、かなぁ。

*1:フロントのリムのスペック(ALEXのACE-19)。リアのリムはMAVICのMA3で470g。少し軽い。