Powertapと秘密の部屋 前編

ようやくとPowertapホイールが走行可能状態になった。

以下実際に使ってみての感想など。ちなみに私が使用しているのはPowertap SL+、2009年モデル。

  1. セッティングは非常に簡単。Powertapをハブに用いたホイールが既に組み上がっているのなら、「ホイールを自転車に装着」「CPU部のブラケットを自転車に装着」「CPU部にタイヤ周長をセットしてブラケットに装着」・・・で完了だ。有線式はおろか無線式のサイクルコンピュータよりも話が早い
  2. ハブの回転は可もなく不可もなくと言った感じだが、スポーツ自転車に使えるレベルは十分確保していると思う
  3. ハブ重量は実測で421g。カタログスペックは412g
  4. CPU部の重量は実測で40g。大きさはよく見かけるサイクルコンピュータよりは少し大きい(前掲写真参照)
  5. CPU部の表示性能はよく見かけるモノクロ液晶のサイクルコンピュータと大差ない
  6. CPU部の操作はマニュアルなしだとチンプンカンプンだった。良く言われていることかも知れないが、ボタンが2個しかないせいだ。ただ、通常の表示やデータクリアの操作は何度もマニュアルを見返さなければならないほど複雑ではない。ちなみに付属の冊子のマニュアルは説明が中途半端で、付属のCDに入っている日本語のPDFマニュアルにより詳細な説明が入っている(Webを探せばメーカーのWebサイトからもダウンロードできる)。またCPU部の設定は付属のソフトウェアからも行える
  7. バッテリーの交換やトルク計測値の較正をユーザーが行える。これらを自分でできるのは有り難い
  8. 走行データは1秒間隔なら12時間、2秒間隔なら24時間記録可能。これだけ記録できればまず困ることはないだろう
  9. ペダルストロークにおけるパワーのバラツキからケイデンスも測定されるが、あくまで推計値で、絶対値における信頼性はだいぶ怪しい。しかし走行データ全体としての相対的なケイデンスの増減はそれなりに反映されているようで参考にはなる。なお別売りのケイデンスセンサーを取り付ければ正確なケイデンスが分かるようになる
  10. 付属の解析ソフトは1回分の走行データを解析するにはまあ不足はないと思う。ただ長期的なトレーニングの効果とかは見えにくいかなと。サードパーティ製でいいソフトがあるらしい
  11. オートストップのキレはあまり良くない模様。何度かストップ&ゴーを繰り返したところ、併用していたサイクルコンピュータ(VETTAのRT277)との計測時間にだいぶ差が付いていた

この辺のことは世間で良く言われているところかなと思う。購入前の調査でもこういった話は見聞きしていた。

1については普通のサイクルコンピュータでは当たり前の、スポークにマグネットを取り付ける作業すら不要なのはちょっと新鮮。これはハブにメカが組み込まれているからこそできる芸当だろう。それでいて速度、走行時間、走行距離、パワー、トルク、心拍数に、推計値ではあるがケイデンスまでデータ採取できるのは便利だ。速度、パワー、トルク、心拍数、ケイデンスはもちろん最高値と平均値も記録できる。
CPU部の設定もかなり気合いを入れて臨んだのだが、マニュアルを読みながら設定して行ったら設定すべき項目は結局日付タイヤ周長くらいのものだった。それら以外はデフォルト設定でも特に困りはしない。日付は記録されたデータに情報として付加される。

ANT+Sportを採用しているので、5が不満な人はGarminのEdge705をCPU部とすることも出来る。私自身はやったことはないのでよく分からないがGPSと併用できて表示能力も大幅に充実させることができると言うことだろう。それなりに諭吉さんの枚数は必要になるが。

7はSRMでできないとなっている事がPowertapではできると言うことで、この点だけでも私にはPowertapを選択するに値した

次に使ってみて初めて気が付いた点。

  1. CPU部に日付と時刻の設定はあるが、時計の表示はない。また節電機能により、設定時間が過ぎると電源が落ちて何も表示されなくなる。よくあるサイクルコンピュータのように腕時計の代わりにはならない
  2. 心拍計なしでも消費エネルギー(KJ)が分かる
  3. PowertapハブをCPU部に認識させるため、走行前にちょっとだけホイールを回す必要がある。電源さえ入れてあればすぐに走り出してもいずれ計測は始まるとは思うが、データの正確性を期するならあらかじめ認識させておかないといけない
  4. 気合いを入れてSL+を買ったけど、PRO+で十分だったかも知れない

2は考えてみれば当たり前なのだが心拍センサーベルトを付けなくても消費カロリーが分かると言うことなので(1KJ≒0.239Kcal、ヒューマンエンジンの効率25%として計算できる)、気合いを入れない普段走りでも消費カロリーが分かってちょっとオイシイかも。
4に関して、SL+とPRO+の違いは重量とアクスルの径くらいで、機能的な違いはないもよう。重量はPRO+の方がカタログ上で54g重いだけ。PRO+はハブシェルが全部アルミで(SL+はカーボンとアルミのハイブリッド)、その分だけ重くなっているが耐久性や価格も含めて考えるとPRO+を選択するメリットもあるかもだ。

Powertapをハブ単体で買った場合、当然ホイール組みをしなければならないが、今回私は32Hロープロファイルリムに14番プレーンスポークでごく普通のクラシックなホイールとして仕上げた。私にとっては最初のパワーメーターであり、不正確な数値を出されては意味がないため無難に組んだ。

ホイール組み時に気をつけるべき点は反フリー側もタンジェント組み(マニュアルには2重レーシングパターンとあるが要はタンジェント組みのことと解釈した)を指定されていることくらいで、6本組みイタリアンで普通に組んだ今回のホイールは何の問題もなく使えている。測定値もそんなぶっ飛んだ数値は出していないので、(多分)正確と思う。

ちょっと色気を出すならカーボンエアロリムで組むとか、お金があればPowertap組み込みの完組ホイールを買ってしまえばホイール組みさえ不要だ。

後編に続く。