サイクルクーラー

サイクリストの夏場の必需品。それがサイクルクーラー


・・・要はただの霧吹き。

既にご存知の方もいると思うが、これまで自分以外に使っている人を見たことがないのでここで紹介してしまおう。この何の変哲もない霧吹きこそが、サイクリストにとって紛れもないクーラーである。私はこれまた勝手にサイクルクーラー命名している。

使い方は簡単。容器に好きなだけ水を入れ、走る前、または信号での停車中などに顔、首、胸、腕、脚などに向けてばんばん吹くだけ。体表面は汗をかいたようにし、服もお構いなしに湿らせる。
この状態で走り出すと水分が体表面や服から蒸発する時に気化熱を奪い涼スィーのだ。そりゃもう何もしない時と比べたら異次元の涼しさ。夏前のあんまり早い時期にやると涼しすぎて寒いと感じるくらい。
走り終わったあとも体中にばんばん吹いて、そよ風に当たっているともうサイコー

この霧吹きを用いるアイディア自体は自分のオリジナルでも何でもなくて知人がWebに記事を書いていたのを見つけて実践してみただけの事なのだが、以来毎年夏場に自転車に乗る時、いや単に屋外で何か作業する時などでも手放せないアイテムとなっている。

ロードバイクに乗る時もこんな感じで、通常の水を入れたボトルより優先してサイクルクーラーを取り付けているくらいだ。

サイクルクーラーを用いることによるメリットとしては、

  1. 外部から与えた人工の汗によって体を冷却するので、自分自身がかく汗の量が減る
  2. 涼しいので摂取する水分の量が減る。胃腸を保護することになり、夏バテ防止に役立つ
  3. 外から体表面に水分を与えることで汗のベタつき感がやわらぐ
  4. ツーリング中に怪我をした時など患部を洗浄できる。また手も洗える
  5. コストパフォーマンス絶大。前掲写真の霧吹きは200円もしなかったが、もうここ5年ほど使い続けていて、壊れる気配は全くない。全然違う話になるが、自転車用のボトルって高すぎないか?

のような事が挙げられる。とくに1と2が大きいかなーと。汗をかくことは健康に良いことでもあるけど、汗は大事な体液なので消耗しすぎれば当然体に負担をかける。そして汗として消費した水分を補給するために口から水分を摂取する訳だが、それで今度は胃腸に負担をかけるのが夏バテに向かう悪いパターンだ。

自転車を走らせているヒューマンエンジンのエネルギー効率は25%程度だそうなので*1、200Wの出力で走っている時には600Wの熱が出ている計算になる。なので夏場でなくても走っている時、特に走り終わって風が当たらなくなると猛烈に暑いわけだ。600Wの電気ストーブを背中にしょってて丁度良く感じるのは真冬くらいなもんだ。
なので私は夏前のかなり早い時期からコレを使用している。早い時は5月から、遅くとも6月には使い始めて9月の終わりくらいまで。それ程暑くない時期でも、全力で走ったあとの猛烈な暑さをやわらげるために使っておりけっこう出番は多い。

デメリットは、

  1. 真夏などは1度湿らせてもすぐに乾いてしまうため、ちょくちょく吹きかけなければならない
  2. 人から「なんで霧吹きを持ち歩いているのか?」と尋ねられた時の説明が面倒

と言ったことくらいか。

湿度の高い時などは水分が蒸発しにくくなって効果も落ちるし、長時間のツーリングになると霧吹きをシューシューやる事自体も負担ではあるが、それでも何もしないよりは遙かにマシで、かつ積極的に体温調節する術を持てるというのは精神的余裕にもつながる。

実際、気温35度を超えるような日でも、これがあれば「ちょっくら自転車ででかけてみっか」という気になるのだ。

*1:出典:「ロードバイクの科学」ふじいのりあき著 スキージャーナル株式会社刊